うまれつき、手足に欠損があったり、指が大きかったり、短かったり…
これらの生まれつき手足の形が多くの人と少し異なる症状を総称して『先天性四肢障がい』
(せんてんせい しし しょうがい)
と呼びます。
NPO法人Hand&Footは、手足にうまれつきちがいを持った当事者とそのご家族が参加する家族会で、日々会員同士交流を深めています。
このページは、園や学校の先生など
子どもたちと関わる保育者・教育者のかたへ理解を深めてもらいたいという思いから、
・疾患の名称
・疾患の詳細や特性
・できること、苦手なこと
を解説したものです。
また、わたしたちが普段よく聞かれることとその答えを
まとめたものも掲載しました。
子どもたちに関わる方々にとって少しでも参考になればと思います。
※先天性四肢障がい児家族会NPO法人Hand&FootのSNS会員の方へアンケートを実施。実際に先天性四肢障がいをもつお子さんの保護者の方や当事者ご本人にお答えいただきました。
2016年4月に施行された障害者差別解消法によって明示された合理的配慮が広がりを見せ、子供たちの教育に携わる方々も様々な場面でご対応頂いているかと思います。
一方で、場合によっては、"自分のやり方を見つける時間が与えられず先生に手伝われてしまった"といった過度な配慮が行われることもあるかと思います。 こういった子供たちの特性にそぐわない配慮は、自己否定感が植え付けられる残念な結果となりかねません。
せっかくご配慮頂けるのであれば、より子供たちの特性に即した対応をして頂きたいと思い、『疾患の解説』と『できること、苦手なこと』を会員の声を元に詳しく書かせて頂きました。是非こちらを、四肢障がい児に関わる保育のヒントとしてご活用頂ければ幸いです。
【解説・イラスト】
一般社団法人日本形成外科学会
http://www.jsprs.or.jp/
獨協医科大学埼玉医療センター
http://www.dokkyomed.ac.jp/
より引用許可を頂き掲載しています。
※上記症状の詳細については、こちらのサイトもご参考にしていただければ幸いです。
ページの閲覧にあたり、下記の点にご注意ください
① その子どもの身体の総合的な状態の把握を行った上で、個別の対応が本来必要です。
② 記事は会員の声を元に詳しく書かせていただいたもので、必ずしも全てのかたに当てはまるわけではありません。
③ 四肢障がいをもつ子どもたちと関わる保育のヒントとしてご活用頂ければ幸いです。
[引用元 ]
(獨協医科大学埼玉医療センター小児外科)
手足の中指が欠損し同部にV字状の裂が生じ、手足指が2つに分かれた外観を呈しています。
[引用元 ](一般社団法人日本形成外科学会)
【できること、苦手なこと】
また5本指を使う楽器であっても、力の弱い指、動く指を把握し、少ない指で自分なりの弾き方を見つけることができる子もいます。
タオルやゴムを使って固定すればばちが持てたり、鉄棒やうんていは手首や足も使って行うようになります。
親指の機能をはたす指をつくるため、現存する指の位置をずらす手術を行う場合もあります。
[引用元 ]
(獨協医科大学埼玉医療センター小児外科)
妊娠中の何らかの原因で指や腕、足の血行が障害され、指が癒合、あるいは切断などの
状態となります。腕や下肢に絞扼輪と呼ばれるバンドができることもあります。
出生後の緊急手術で絞扼を解除できる場合もありますが、すでに切断されている場合は骨の延長や、指の分離で使いやすい状態に修正します。バンドがある場合には、手術で皮膚のひきつれを改善します。
[引用元 ](獨協医科大学埼玉医療センター小児外科)
【できること、苦手なこと】
園で箸の練習をする際、握ることが難しい子には使いこなせる代替え品(トング型箸など)の持ち込みを認めて頂けると有り難いです。
[引用元 ]
(獨協医科大学埼玉医療センター小児外科)
指が短く、癒合している状態で、指の長さは様々です。
[引用元 ](獨協医科大学埼玉医療センター小児外科)
【できること、苦手なこと】
【左手全指欠損児の工夫】
他の全指欠損の子も同様に介助なしで生活できるよう、各々工夫を凝らしています。
[引用元 ]
(獨協医科大学埼玉医療センター小児外科)
手や指の部分的な巨大症を巨指症といいます。主に皮下脂肪組織の肥大化により見かけの醜状のみならず、指の屈伸運動が障害されます。手指の場合は箸やペンを持つことが困難となり、足趾の場合は歩行困難、普通の靴が履けないなどの障害が見られます。
[引用元 ](一般社団法人日本形成外科学会)
【できること、苦手なこと】
[引用元 ]
(獨協医科大学埼玉医療センター小児外科)
母指がわずかに小さいものから、重症では完全に欠損するものまで様々な程度のものが見られます。母指は他の指と対向させて「握り」や「つまみ」など手の重要な機能を担う指ですので、その形成障害は、他の指に比べ手の機能の著しい障害に繋がります。
[引用元 ](一般社団法人日本形成外科学会)
【できること、苦手なこと】
そんな疑問を保育者の方からご相談いただきました。
症状やその子の性格によって一概にこれが答えとは言いきれませんが、保育園や幼稚園の先生、教育者のかたや子どもたちに関わる方にとって少しでも参考になればと思い、まとめて掲載させて頂いております。
※先天性四肢障がい児家族会NPO法人Hand&FootのSNS会員の方へアンケートを実施。実際に先天性四肢障害をもつお子さんの保護者の方や当事者ご本人にお答えいただきました。
【質問をタップすると回答が開きます】
意見
意見
意見
ご家庭によっては、『怪我をしたというと治るのではと思われるので、その説明はしてほしくない』と考える方もいらっしゃいます。保護者の方と相談し、答えを統一しておくとスムーズです。
意見
着替えは他の子同様、練習をすることでできるようになったり、鉄棒やうんていは手首や足を使って挑戦します。
椅子や給食のお盆も全指欠損であっても、自分なりに支えやすい場所をみつけて、上手に持てる子もいます。
基本的には子どもたちはあるだけの身体をつかって、やり方はちがうかもしれませんが、こなしていきます。
例えば会員の左手全指欠損の次男のぞうきんの絞り方:
指がない方の手首に2つ折りの雑巾を巻き付けて、右手でぎゅーっと絞る。
左手の血が止まるのでは?痛くないの?と学校の先生も最初ビックリしたそうですが、全然痛くない、との本人談があったそうです。
自分なりに工夫していくので、その見守りや、一緒に工夫を見つけていくことを先生方も一緒に楽しんでほしいと思います。
保護者のかたと話し合った上で、上記の意見が対応のヒントになればと思います。
意見
入園を希望されるかたのなかには、他の園で入園を懸念された経験をもつ方もいるかもしれません。
もちろん園側の規則や条件もあるとは思いますし、指や手が欠損している、などと聞くと、前例がない場合はびっくりしてしまうこともあるかもしれませんが、できるだけまずは直接会って頂いて、お子さんや保護者の方と色々とお話をしてみて頂けたら嬉しいな、と思います。
実際にお子さんの様子を見たり、話し合う事で少しずつお互いの不安は解消していくことと思います。
ぜひ一度子ども本人に直接会う機会をつくって頂けたらというのが心からの願いです。
【子どもたちと関わる保育者・教育者の方へ】
ご理解頂けるのかといった不安感もあり、話しながら涙ぐんでしまう方もいらっしゃいますが、
そういった説明の場を設けて下さり、話しやすい雰囲気を作って下さる先生方や保護者の皆様方のお陰で、最後まで話をすることが出来ています。
子どもたちと関わってくださっている保育者・教育者の方へは、当事者の子どもたちだけではなくそのご家族に対してもご配慮頂けていることに、日々感謝の気持ちでいっぱいです。
『合理的配慮』は、する側される側双方の意識にズレがあると、なかなか円滑に進まないように思います。
当事者家族としては常にご対応頂いている方々への感謝の気持ちを忘れず、的確に子供の適正をお伝えしたいと考えています。
是非、今後も配慮が必要な子供がいるご家族と密に話し合い、円滑な保育を進めて頂ければ幸いです。
NPO法人Hand&Foot
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