2018.05.08

【靴ってどう対応した?】 足に疾患・障がいのある方向けの靴「サスウォーク」

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はじめまして。natsuパパと申します。

私には、右足に2趾欠損と裂隙がある『裂足症(れっそくしょう)』という疾患を抱えた5歳の娘がおります。

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出生当時は足が成長するのか、歩けるようになるのか、妻と二人で将来を案ずる毎日でした。

が、それも昔の話…
現在は下の階にお住みの方から騒音苦情が来ないかと案ずる毎日へ。

おかげさまで室内外問わずバタバタ元気に走り回る5歳児となり、幸いにも歩行への不安は杞憂に終わりました。

ただ、今度はバランスの悪い足で日常生活を過ごすことで今後身体全体にどの様な悪影響を及ぼしてしまうのか、といった懸念が生じてきました。

【足指の欠損がある】【左右サイズが異なる】
そんな方に知ってほしい靴。片足のみの購入も可能

足に疾患をお持ちのお子さんのご家族は、

「普通の靴を履かせて大丈夫なのか…」
「左右サイズ違いの靴を用意した方がいいのか…」

このような疑問をお持ちではないでしょうか?

そこで今回、その疑問を解決すべく子供の足と靴の関係性に造詣の深い専門家にお話を伺って参りましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。

『足育』に関する話も含まれますので、足疾患以外のご家族にもご一読頂ければ幸いです。

疾患・障がいのある方向けの靴を専門に販売するサスプランニングさんにお話を伺いました

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第17回子供の福祉用具展『キッズフェスタ2018』にて、株式会社サスプランニングの新井和幸代表にお話を伺って参りました。

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サスプランニングは、身体の障がいで足に補正を必要とする方、補助具を着けて生活されている方々へ機能性とデザインを求めた靴『サスウォークシューズ(下肢装具・足底板対応靴)』の企画・制作・販売を行う会社です。

オンラインでの購入ができるほか、千葉・埼玉県内で5店舗を運営する靴店『Bloque』店内でも購入が可能となっています。

足に装具着用の二分脊髄症のお子さんがいるご家族から、「履きやすく加工して欲しい。」との要望を受けた事をきっかけに、疾患・障がいのある方向けの靴を専門に販売するようになった新井代表。

こちらの質問にも丁寧に分かりやすくお答えくださいました。

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出展ブースへ着いてからご挨拶もそこそこに、早速娘の足と履いて来た靴を診て頂きました。

そこで早々に指摘を受けたのが、足に比べて靴のサイズが大きい点と柔らか過ぎる点。

この2点により、歩行時に足が靴の中で横滑りを起こし、非常に不安定な状況になっているとの事でした。

*靴選びワンポイントアドバイス(by新井代表)

・成長を見越しサイズの大きい靴を選ぶのはNG!
・中で横滑りをしないある程度の固さ(特に踵の芯材がしっかりしている)があるもの。
・ベルト(もしくは紐)でしっかり甲部を固定出来、足幅を調整出来るもの。

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娘は以前、合趾分離手術を受けた際、裂けている部分の縫合も行い足幅を狭めて頂いたのですが、それでも多少左右の足サイズに違いがあります。
(左に比べて右が 足長-0,5cm 足幅+1cm)

そのため娘が靴を選ぶ際、幅の窮屈さから自然と大きいサイズを選んでしまっていたようです。

足長にも違いがある事から、「右と左でサイズ違いの靴を履かせるべきでしょうか?」とお尋ねしたところ、

「この程度の違いであればその必要は無い。ベルトでしっかり甲部を固定すれば良い。」 とお答え頂きました。

娘程度の違いであれば問題はないようですが、それ以上差がある場合はサイズ違いも検討した方が良いかと思います。

こちらのShopでは、その様なお子さん向けに片足のみ購入出来る商品も多数取り揃えていらっしゃいます。

靴で足を矯正・補正するサスウォークシューズ

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次に、オンラインSHOPで実際販売されている足底板対応のサスウォークシューズを履かせて頂きました。

サスウォークシューズは、障がいが原因で生まれつき足が細身であったり、立つ姿勢が不安定な方、また尖足(つま先立ち)で 踵が脱げ易いお子さん向けで、装具代わりに足元の補正を行ってくれる商品です。

また娘のように足先に変形のある子供でも、履き口が大きく開くため大変履き易くなっています

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日頃履いていた16,5cmが大きいと指摘を受けたため、適正サイズの16cmを履かせたところ、やや微妙な表情を浮かべる娘。

その様子を受け新井代表から、
「しばらく履いていくと馴染んで、歩きも走りもしっかりしてくる。」
「靴で足を矯正するイメージを持ってください。」
とのお言葉がありました。

*靴選びワンポイントアドバイス(by新井代表)

・小さい頃から足を矯正・補正する意識を持ち、適正サイズ・形状の靴を選ぶ。
・足首が安定する靴丈がくるぶし迄あるものを選ぶ。

子供の足は18歳頃までに【骨化期】という過程を経て、大人の足へと成長を遂げます。

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(参照:NPO法人WISH)

骨化期・成長期に合わせた靴選びはとても大切です。
3~7歳頃のアーチ形成期は運動神経が最も発達する時期と言われています。

基本的運動(走る・跳ぶ)の形が完成するのもこの頃、屈曲性の良い靴を履かせてしっかり運動させましょう。

また、アーチ(土踏まず)が形成され始めるのも3歳前後。

遺伝や運動不足で形成されない子(扁平足)も大勢いますが、適切な靴とインソールでしっかり補正する事で改善させる事が出来ます。

7歳以降は体力もつき動きも激しくなるので、足を守るクッション性の高い靴を選ぶよう心がけましょう。

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(参照:NPO法人WISH)

足のアーチの補正を促す足底板(インソール)の重要性

※足底板とは : 足や膝の痛み・変形等に対し、保護や矯正を目的に行われる保護治療法です。

以前、都内の足専門クリニックにて娘の足の画像診断をして頂いた際、インソールでの補正を勧められた経緯があったので、新井代表に足底板についても質問させて頂きました。

足の裏には3つのアーチがあり、この3つのアーチが体重の分散や歩行時の衝撃を吸収するスプリングの機能を果たしています。

・外側縦アーチ (小趾~踵手手前)
・内側縦アーチ (土踏まず)
・横アーチ (親趾付根~小趾付根)

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(参照:NPO法人WISH)

このアーチ形成が不十分であったり、衰えて保てなくなると歩行のバランスが崩れ、衝撃がダイレクトに骨格・関節に伝わり、膝・腰・首などの痛みを誘発。 痛みが慢性化すると日常生活にも支障をきたす恐れがあります。

これらの悪影響を未然に防ぐためにも、アーチの補正を促すインソールの存在は非常に重要であり、

『靴がハードであるなら、インソールはソフトである。』

適切な靴とインソール双方が合わさってこそ良い効果が得られる、と力説されていらっしゃいました。

足裏の面積は全体表面積の僅か2%(片足1%)。

欠損などでバランスを欠くと、更に1%以下という僅かな面積で全体重を支えなければなりません。

特に疾患をお持ちのお子さんは、インソールによって適切な体重・ 衝撃分散されるようアーチを補正し、上からの圧力に耐え得る足を作っていかなければならないと思います

ここまでお話を伺ってインソールの重要性は認識しましたが、制作にかかる費用も気になるところ。

整形外科などで制作する場合、疾患によっては一部保険でカバーする事も可能なようですが、それでも一度に作れるのは2組(屋内用・屋外用)まで。

対応年数が決められており次に作れるのは約1,5年後で、年数前に作るとなると全額自費となるようです。
(成人サイズで約3万円)

子供は1~2歳半頃まで半年で足長1cm、以降は0,5cmほど成長するので、都度作り替えるのも負担が大きくなってしまいます。

サスプランニングさんではその様な制度の不備に悩まされている方、或いは保険適用されない方のために、安価で制作出来るオリジナルインソールを提供しています。

ご興味がおありの方は是非ご検討ください。

自作可能な”ドウヤメソッド”軍手インソールのご紹介

簡易ではありますが、娘も試している自作出来るオリジナルインソールを一つご紹介致します。

TBS『名医の太鼓判!』にご出演の、お茶の水整形外科・機能リハビリテーションクリニック院長 銅冶英雄先生考案、
"ドウヤメソッド"軍手インソール http://www.ochaseikei.com/footcare/foot8.html

参考までに我が家の手順を載せます。

ある程度アーチは形成されていて、病院や靴店で作るほどではないという方はこちらをお試しください。
(掲載の許可は頂いておりますが、全ての方に効果がある訳ではない事をご了承の上お試し下さい。)

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①インソールを取り外し足と合わせて、内側縦アーチ(土踏まず)の位置を確認。 娘は第3,4趾欠損部にスペース(○の位置)があるので、その位置も確認しておく。

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②軍手を切り取ったものを、グリップ面を上向きにしてインソール裏面アーチ部に貼 りつける。(場合によっては2枚重ね) 横アーチの補正が必要な方は横アーチ部にも。 娘の場合、欠損部のスペースによって足が動いてしまうので、そこにも凸を作り横滑りを防止します。

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③貼り付けたら数時間試し履きをし、違和感を覚えた場合、枚数を減らしたり位置 を変えるなどの微調整を行う。 (貼り付ける位置や厚みが分からない方は、クリニックと同じビルに入る(株)お茶の水義肢装具ergofoot にて調整して頂けます。)

ここまで靴とインソールが子供の足にもたらす影響について書かせて頂きましたが、足、趾をしっかり使って足底の筋肉を発達させ、力強い足を作る事が重要なのは言うまでもありません。

筋肉の発達は外での運動以外にも、室内遊びの中に取り入れる事も可能です。
また、裸足や草履での生活なども発達に良いと言われています。

このように種々様々な手段がありますので、是非子供達の生活に取り入れ、欠損などでバランスを欠いた足を補う力強い足を作って頂きたいと思います。

そして適切な靴・インソールと共に、お子様を始めご家族の皆様も健康的な生活をお送りください。

※長尾製靴所 https://www.nagao-shoes.jp/ サスプランニングさんの隣のブースに出展されていた靴屋さんです。 主に装具利用の方向けに長靴などを加工した商品を販売されています。
※NPO法人 WISH http://wish.littlestar.jp/index.html 今回、様々な情報をご提供くださいました。ありがとうございました。
そして最後に、お忙しい中お時間を割いてくださいましたサスプランニング新井代表、ありがとうございました。

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