保育者向け【多くの人と違う形の手足の子どもたち】入園・関わりや対応
こんにちは。Hand&Footのチハラです。
Hand&Footは、生まれつき指が短かったり、指の数が5本ではなかったり、大きかったり、
欠損していたり・・・一般的に「先天性四肢障害」といわれる 手足で生まれてきた 子どもたちと、その家族を支援する特定非営利活動法人です。
私は現在小学1年生の左手全指欠損の息子がいます。
これまで、Hand&Footに
・保育者向けの情報がほしい
・クラスに指が欠損している子がいるので関わり方を知りたい
などの要望を頂いていました。
そこで、園の先生方、そしてこれから保育園や幼稚園へ通わせたい保護者のかたにもちろん、
なにかの参考になればと思い、
生後3ヶ月から通った保育園での我が家の経験を元に
多くの人とは少しちがう手足のかたちで生まれてきた子どもたちへの園での対応や関わり方についてお話させていただきます。
「その子にとって生まれて初めてのチャレンジを、是非見守って」
保育者向けに子どもたちとの関わり方をまとめました
1 是非直接会ってお話を!入園希望の対応
2 【年齢別】当事者の子どもとの関わりかた
3 手伝ってくれる周りの子どもたちへの対応
4 手足のことをお友達から聞かれた時の答え方
5 まとめ「子どもたちのチャレンジを見守って」
是非直接会ってお話を!入園希望の対応
手足に多くの人とのちがいを持つ子どもたちのご両親が園へ入園の問い合わせをするときは、とにかく不安な気持ちでいっぱいです。
入園を希望されるかたのなかには、他の園で入園を懸念された経験をもつ方もいるかもしれません。
もちろん園側の規則や条件もあるとは思いますが、できるだけまずは直接園に来ていただいて、お子さんや保護者の方と色々お話をしてみて頂けたら嬉しいな、と思います。
指や手が欠損している、などと聞くと、前例がない場合はびっくりしてしまうこともあるかもしれません。
が、乳幼児であれば、おっぱいやミルクの飲み方、性格やくせなどをお聞きするなど、他のお子さんと尋ねる内容はほぼ変わりません。
この記事にこれから書かせていただきますが、特別な加配なしで自分のことは自分でできるお子さんがとても多いです。
もちろん手足の症状にもよりますが、特別工夫が必要な事は、乳幼児期の段階ではほぼありません。
怪我をしたときは… 全体での行事が…
など思うことはたくさんあるかもしれません。
直接お子さんと会って様子を見たり、保護者のかたと話し合う事で、少しずつお互いの不安は解消していくことと思います。
よく、直接子どもと接した方たちからは
「なーんだ、なんでもできるんだね」
と言われることが本当にたくさんあります。
「できない」「助けが必要」というのは、思い込みな部分も多くあります。
是非一度直接本人の子どもへ会う機会をつくって頂けたらというのが心からの願いです。
【年齢別】当事者の子どもとの関わりかた
<0〜1歳の場合>
症状の程度によっては、ハイハイやつかまり立ちなどをする姿が想像できないこともあるかもしれませんが、どんな手足の子でも「その子のやり方」で、自然と子どもたち自身で多くのことを習得していきます。
ですから、周りに危ない物はないか、など他の子どもたちと同じ対応で問題ないことがほとんどです。
給食の際に自分でスプーンやコップを持ちたがったとき、指の数や長さによってはうまく持てない事がありますが、保護者のかたとどちらの手で持つようにするか相談したうえで、両手で試してみたり、持つ指を変えてみたり、時には別の道具を使ってみたり・・・
「その子にとってのベストなスタイルは何か?」を探していくうちに、子ども自身も自分に合ったやり方を見つけていくことができます。
本人と一緒に色々試していくとその子に合ったやり方に出会えるので、方法を1つに決めないことが良いのではないかと思います。
2〜3歳の場合
着替えや外遊びも活発になり、自発的に身の回りの事をするようになる時期。基本的には他の子と同様に、自分でやりたい気持ちを優先してあげると良いと思います。
手の症状によっては、力がうまく入らず、ボタンをかける、ズボンを履く、靴下や靴を履く・・・といった動作が難しい子もいます。
また、指の長さや親指の有無によって「つまむ」のが難しい子もいます。
そんなときは是非、「どうすれば1人でできるかな?」と、一緒に考えてみてもらえると本人もきっと嬉しいと思います。
たとえば、給食で出たチーズの小さい袋を口を使って開けるなど、子どもはときに大人とは違ったやり方を見つけるかもしれません。
それは今の段階で「その子に合ったやり方」だと思いますので、他にもやり方があるかな?と試しながら練習してあげることで、良い方法が見つかっていくと思います。
<4〜6歳の場合>
なんでも自分でできるようになるこの時期は、工作でハサミやノリを使う事も増えてくると思います。生まれて初めて楽器に出会う時期かもしれません。
指の数が少なかったり長さが短いと、ハサミの時には力がうまく入りません。
また、片手しかない子は自分で紙が持てないため、「紙を持ってあげる」「支えてあげる」など、最初は保育者の介助が必要な場面があります。
ただ、何度も挑戦していくなかで、力の入れ方を自分で考えたり紙の押さえ方を工夫したり・・・と、子ども本人が自分1人でできる方法を考えるようになります。
「1人でやってみて、どうしても無理な時には手を貸し一緒に考える」という方法で練習すると、次第に手を貸さなくても子どもはどんどん1人で出来るようになっていきます。
楽器に関しては持てない物もありますが、別の道具を使うなどして支える事も可能です。
▲たとえば、全指欠損の子の場合にはリストバンドを作成し、ゴム紐と一緒に手首に固定する方法で持つ事ができるようになり、力を入れて叩く事もできます。
▲鉄棒は手足の指の数や長さに関係なく、苦手な子はあまり遊ばないし、好きな子は手首や肘を使ってクルクルと回ります。
▲縄跳びはしっかりと手に持てないときは、リストバンドに結びつけたり、手首に直接結びつけたりすると飛びやすくなります。
保護者のかたと相談しながらできる方法を探してあげることで子ども自身もとても喜びますし、「できた」体験がたくさん生まれ、その子の自信に繋がっていきます。
手伝ってくれる周りの子どもたちへの対応
年中・年長さんになってくると、周りのお友達が気にして、手を貸してくれる場面も出てきます。
保護者のかたの方針にもよりますが、できる限り周りの子どもたちにも、「あまり手を貸さず、困っている時には手伝ってあげよう。」と伝えておくと、必要以上に手を貸すことは少なくなってくると思います。
本人にも、「まずは自分でやってみよう。どうしても難しい時は周りのお友達や先生に教えてね。」と伝えておくと安心するはずです。
そうすることで、周りの子どもたちも自然と「どこまで手伝って欲しいのか?」を学んでいきます。
手足のことをお友達から聞かれた時の答え方
3〜4歳頃になると、違いに気付く子どもたちも増えてきます。
でも、子どもたちは純粋に自分と違うことを不思議に思い聞くだけで、傷つけるつもりも、哀れに思う気持ちも何もないのだと考えています。
ここで大人が「(こんな事を聞いて)ごめんなさい」「そんな事を聞いてはダメ」と言う反応をすると、子どもたちには「自分は何かまずい事を言ってしまったのではないか」「聞いてはいけない事を口に出してしまったのではないか」というマイナスイメージがついてしまいます。
多くの場合、手足がどうしてそのカタチでうまれてきたのか、はっきりとした原因は現在でも不明です。
子どもたちが不思議に思っていたら、『聞いてはダメ』と言うのではなく、「どうしてだろうね?不思議だね?みんなの手は(足は)どうして5本なんだろうね?」と一緒に不思議がってあげると良いのではないか、と思います。
不思議に思う事は悪い事でも何でもないのです。
また、「なかなか周りには少ないよね、四つ葉のクローバーと同じだね。」など、ポジティブな言葉を使って説明してあげると、子どもたちの中にマイナスイメージがつきにくく、本人も受け入れやすいようです。
まとめ「子どもたちのチャレンジを見守って」
初めて出会うお子さんに、きっと戸惑う事もあると思います。
また、本人にとってもやりにくい事、苦手な事、時間がかかる事、たくさんあると思います。
でも、それって手の指が無いからでしょうか?
足の指が少ないからでしょうか?
きっとそうではなく、できない場面にぶつかるのは、その子にとって生まれて初めての事だから。
手足が同じカタチでも、違うカタチでも、生まれて初めて出会うモノ、コトにチャレンジしているからではないかな、と思います。
やり方は人それぞれです。
出来るスピードも、また人それぞれ。
ぜひ子どもたちのチャレンジを見守ってほしいと思います。
「できないかも…。」ではなく「どうやればできるか?」
それだけで子どもはどんどん前へ進んで行けるはずです。
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「ふつうって何だろう?」
「多くの人と違うことはかわいそうなこと?」
この絵本を読んで得られる気づきの一つ一つが少しでも多く集まれば、世の中の「驚き」も変化していくと信じています。
この絵本と共に、「初めて会ったとき、どうかびっくりしないでね」そんな気持ちがたくさんの人に届くことを、子どもたちと共に願っています。
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