人との出会いは宝。貴重な出会いを活かし楽しんでー左手全指欠損の息子、小学校入学!
こんにちは。Hand&Footのチハラです。
我が家の次男コーくんは7年前、「左手全指欠損」で生まれてきました。
想像もしなかったことが起こり、これまでも色々とありましたが
現在小学1年生。毎日楽しく学校へ通っています。
左手全指欠損の次男、入学式~現在の小学校生活
まだ生まれたばかりの赤ちゃんをお持ちの方、
幼稚園や保育園へ通い、もうすぐ小学校へ上がるお子さんをお持ちの方、
きっと見えない未来に不安を抱いて、心の中がザワザワしておられるかもしれません。
楽観的にオープンに過ごしてきた私ですら、入学前にはとてつもなく不安にかられ眠れなくなることもありました。
そんな我が家の入学式から現在の小学校生活について、少しでも皆さんの参考になれば、と思い書かせていただきます。
入学前には校長先生とお話しました
入学前、前もって校長先生と面談を行いました。
自治体によると思いますが、長男が通っている小学校は11月に就学時前検診があり、検診後に必要性を感じる保護者は校長室で面談が出来ました。
私も次男を連れて校長室を訪れて話をしてきましたが、私の場合、長男でPTA役員をしていたこともあり、すでに校長先生とも顔なじみでした。
さらに次男もよく小学校へ連れて行っていたので、校長先生も色々とご存知で改めて話すことはほとんどありませんでした。
左手は指がないが、生活に支障はない事はお伝えしましたがそれくらいで…。
校長先生から聞かれたことと言えば、給食を一人で食べられるかどうか?
なので、特に何をすることもなく入学式を迎えました。
入学式。息子の笑顔に安心しました
▲入学式当日
入学式当日。
私が1番不安だったのは、周りの子どもたちの反応。
特に、新1年生はクラスの子と手をつないで体育館へ入場してきます。
手をつなぐことを嫌がられるのではないか…
それを考えると本当に胸が痛かったです。
ドキドキしながら保護者席で待っていると、緊張した面持ちで次男が隣の子と右手をつないで入ってきました。
なぁーんだ、とホッと胸をなでおろしましたが、退場する時は進行方向が逆になり、左手の方だったので手をつないでいませんでした。
少し胸が痛くなりながら教室へ戻り、次男の様子を見ると…さっきとは全く違う安心した顔で、ニコニコと隣の友達とふざけていました。
先生の話も耳に届かないくらいに…ランドセルの黄色いカバーを頭にかぶって笑っている次男を見て「あ、この子なら大丈夫かも。」と思ったことは一生忘れないと思います。笑
コーくんのこと、聞かせていただけませんか?
▲学校帰り。荷物がいっぱい
入学式が終わり、教室での連絡などが終わり帰ろうとしていたところ担任の先生に呼び止められました。
「入学式前に連絡しようと思っていたのですが、当日になってすみません。よろしければコーくんのことについてお話を聞かせていただけませんか?」
先生からの申し出に驚きましたが、私も聞いてほしいと思っていたのですぐその午後に約束をして、再び学校へと向かいました。
他のクラスの先生方も集まってくれました
担任の先生は50代のベテランの女性。
嬉しかったのは他のクラスの1年生の先生方も「一緒に話を聞かせて欲しい」と集まってくださったこと。
他のクラスの先生は20代、30代の少し若い先生方でした。
次男の出産時から保育園生活まで、じっくりと話させていただきました。
そして思い切って聞いてみました。
「今までの学校生活で、コーくんのようなタイプの子を受け持ったことがありますか?」
ベテランの先生なら経験があるかな、と思ったのです。
しかし、教師生活が長い先生でも
「今まで出会ったことがないんです。だから本当に勉強になります。知らなかったことがかなりあって驚いています。」
とおっしゃっていました。
そして「コーくんの手のことをクラスのみんなに話しても良いですか?」と聞かれたので「ぜひぜひお願いします!」と答えました。
何だろう?と不思議がってコソコソされるよりも、最初に先生から「こういうタイプの子だよ」と伝えてもらった方が本人にとっても良いと思ったからです。
実際、次男も「(手のことを)先生がみんなに説明をしてくれたから良かった。」と安心した様子で言っていたので、この判断は良かったと思っています。
みんなの反応は「ふーん」
次の日、先生がみんなに伝えてくれたようで、次男も教えてくれました。
「みんなの反応はどうだったかな…」と気にした私でしたが、みんな「ふーん」といった反応で先生も拍子抜けしたそうです。
「子どもたちってすごいですね!」と後日参観で会った時に担任の先生もおっしゃっていました。
それからは…
すぐに友達もでき、入学1週間後には友達と寄り道しまくり、ちっとも帰って来ないので探しに行ったりとなかなかのヤンチャ振りを発揮し
あっという間に学校生活へ馴染んでいきました。
歓迎遠足、参観日
1年生の歓迎遠足では、前もって6年生に知り合いがいるかどうかを先生が聞いてくださり、その子とペアを組むように配慮してくださいました。
私はそこまでしなくても…と思い躊躇したのですが「次男だから特別に」ということではなく、色々な性格の子をみて組ませているのはいつものことだから、と説明を受けたのでお願いすることにしました。
遠足当日、結局知り合いの子は別のクラスだったので、知らない6年生の子でしたがとても優しいお兄さんだったらしく、笑顔で帰ってきました。
▲参観日での発表
初めての参観日。
私の顔を見つけると、次男は嬉しそうにニヤニヤしながら授業を受けていました。
帰りの会が終わると、「じゃあ、あとでね!」と友達とピューッと教室を出て行きました。
懇談会で保護者の方へお話。
聞いてはいけないこと、にしたくない
私は最初の保護者懇談には必ず出席しようと決めていました。
どれくらいの保護者が参加するか分からないけど、最初が肝心だと。
担任の先生にも前もって「懇談会の時に保護者向けに話がしたい」とお願いしておきました。
クラスの半分くらいの保護者が参加しており、1人ずつ自己紹介と我が子のことを話していきました。
保護者の前で次男の手のことを話すのは保育園時代を入れて2回目。
生まれつき左手の手首から先がないこと。
子どもたちが驚いて話してきたらぜひ聞いてあげてほしいこと。
そして原因は分からないので一緒に不思議がってほしいこと。
指は片方ないけど、意外と何でもできること。
そんなことを伝えさせてもらいました。
保護者の方の反応は特にありませんでしたが、同じ保育園から一緒だった子のお母さんが何度も「うん、うん」と大きくうなずいてくれたのが本当に心強かったです。
大人の間違った反応で、その後の子どもたちの捉え方が大きく違います。
大人が「そんなこと言っちゃダメ」と言ったり、話をそらしたりすると「自分は聞いてはいけないことを言ってしまったのではないか」と子どもたちが考えます。
そして「手のこと」=「聞いてはいけないこと」=「よくないこと」とインプットされてしまいます。
なので、せめてこのクラスではそれは避けたい!と思い、とにかく早い段階で保護者へ伝えることを大事に考えました。
「出来ないことも、困っていることも、何もない。」
▲7歳になりました
次男が学校生活で出来ないことも、もちろんありました。
給食に出るジャムの小さな袋が開けられず、先生に開けてもらっていました。
ただ…これを書くにあたり、久しぶりに次男に聞いてみると最近は自分で開けられるようになったとか。
これ以外にも次男本人に出来ないことを尋ねても、いつも「何もない」と言うのです。
鉄棒、縄跳び、メロディオン(ピアニカ、鍵盤ハーモニカ)、給食当番、雑巾しぼり、などなど…
私たち大人が「ちょっと難しいかな?」と懸念するようなことを一通りこなしてきたのです。
これには母である私も少し驚いたので、先生はもっと驚きが大きかったようです。
「出来ないことも、困っていることも、何もない。」
いつも淡々と、堂々と言ってくるのです。
次男を見ていると、強がりではなく本当に何もないんだろうな…と感じます。
これが自分の手だから。みんなも自分の手があるでしょ?
「学校で嫌なこと言われたりしてない?」とたずねても、答えは「ノー。」
ただ不思議に思う子は多いようで、他のクラスの子がよく「何でそっちの手はそんなに小さいのか?」と聞いてきてたそうです。
そんな時、次男の答え方はいつも
「生まれつきだから、お腹の中にいる時からこの手なんだよ。
これが自分の手だから。みんなも自分の手があるでしょ?それと同じだよ。」
この答えを聞いた子たちは「ふーん。」と言って大して気にせずどこかへ遊びに行ったり中には「ふーん、いいね〜。」という子がいるそう。
私はこの話を聞いて本当に感心しました。
周りの子どもたちの反応も面白いし、何より子どもたちにとってははっきりとした原因や答えがなくても納得できるんだ、と知らされました。
大人はつい原因や正しい答えを出したがりますが、次男の答えはどこか曖昧です。
でも堂々と「これが自分の手。それはみんなと同じ。」と答えることで周りの子どもたちも「そうか。」と納得しているのではないでしょうか。
息子からの学び”遊びながら多様性を知ること”
▲ソフトボールチームに入りました
さらに次男は時々「クイズを出す」らしく、
「指の数が1本の人はいるでしょうか?いないでしょうか?」
と、クラスメイトに聞くそうです。
「『2本は?』『3本は?』と、どんどん数を変えて出すんだよ〜。」
全問不正解の子もいれば、全問正解の子もいると、とても楽しそうに教えてくれました。
そうやって、次男の周りの子たちが「手足のカタチが違う子がたくさんいる」ということを、遊びながら知ってくれることが、何より私たち大人が学ぶべきことではないかと感じました。
役員に参加するのもひとつの手
小学校によるかもしれませんが、先生方は味方になってくれます。
味方になってもらうために、PTA役員をするのも一つの歩み寄り方だと思います。
学校と関わることで、その学校の考え方や特徴も見えてきますしお互い顔が分かることで、こちらからも相談しやすくなります。
「特別な配慮は必要ない」と前もってお伝えしておいたので、本当に他の子と同じように接してくださり、
最後の参観の時にも「なんか特に何もしないまま1年終わりそうですが、大丈夫でしょうか…?」と担任の先生から聞かれたほどです。笑
私はそれで良いと思っていますので、先生には感謝でいっぱいです。
人との出会いは宝。不安がらずに踏み出してみて
▲体育会
小学校では、幼稚園、保育園とは違う多くの子どもたちと出会います。
それは避けて通れないことです。
社会に出れば、もっと様々な人と出会います。
人との出会いは宝です。
その貴重な出会いをこの子の人生にどう活かすか?
不安な気持ちだけで立ち止まらず、一歩踏み出してみるときっと何かの道しるべが見えると思います。
もしどうしても不安で仕方ない場合は、どうぞHand&Footの仲間に打ち明けてみてください。
あなたと、あなたのお子さんの後ろにはたくさんの仲間がいることを忘れないでくださいね。
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「ふつうって何だろう?」
「多くの人と違うことはかわいそうなこと?」
この絵本を読んで得られる気づきの一つ一つが少しでも多く集まれば、世の中の「驚き」も変化していくと信じています。
この絵本と共に、「初めて会ったとき、どうかびっくりしないでね」そんな気持ちがたくさんの人に届くことを、子どもたちと共に願っています。
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